「socorro!」(ソコーロ!)、「HELP!」
と叫んだことを思い出した。
メキシコシティのホテルのエレベーターで。
指定の階で止まらず、どんどんどんどん降下してって地下の地面?にガンとぶつかってそれっきり動かなくなった。
メインのエレベーターではなく、あまり使われていない裏側の1台だけのエレベーター。
非常用電話なんてついてないし、ドアを力いっぱいドンドン叩いて助けを求めた。
「socorro!」「HELP!」
ものすごい恐怖感。
もうパニック……。
15分ほど叩き続けたろうか、上の方でがやがや言っているのが聞こえてきた。
遠くから早口のスペイン語で喋られてもさっぱりわからない。
それでも気付いてもらえたことに、ほっと安堵する。
それからまた15分程待ったろうか、今度はいきなり上昇。
1階を超えてどんどん上がっていく。
ある階で止まった、そうしてドアが開いた。
アメリカ人(多分)の宿泊客二人が立っていた。
ボタンを押して待っていたのだろう。
僕の真っ青な顔で飛び出してきたの見て、怪訝な表情をしている。
「これはダメだ!」と言っても通じない。
二人は乗り込み、下へ降りてった。
その後は知らない。
あのエレベーターは、シンドラー社製だったのかなあ……。
ほんと怖かった。